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新国立競技場(東京都新宿区)

 都営地下鉄大江戸線青山一丁目駅で下車。神宮外苑いちょう並木を経由して「日本オリンピックミュージアム」へ。このミュージアムは日本スポーツ協会、日本オリンピック委員会の本部ビルの1階と2階にある。2階は有料エリア。ミュージアムの2階からは新国立競技場の全体をみることができる。
 ミュージアムを後にして、新国立競技場をひとまわりする。競技場はすべて完成。外まわりもほぼ完成しているが、プレスセンターは工事中。現在、テストイベントを除いては、内部は見学できない。高さ約1.8mの仮囲いがあるが、道路上から競技場をながめることはできる。
 新国立競技場は神宮外苑の杜によく調和している。威圧的な外観でないところが好ましい。競技場の高さは約47m、地上5階、地下2階。収容人数は約68,000人。屋根などに木材を多用しているが、耐用年数はどうなのだろうか。
 帰りは聖徳記念絵画館のそばを通って、JR総武線信濃町駅から帰宅。

<写真>
①神宮外苑いちょう並木
⇓146本のイチョウが植えられている、東京都内では有名な並木道。
神宮外苑いちょう並木2020012101
②日本オリンピックミュージアム
日本オリンピックミュージアム2020012102
⇓1階「ウェルカム・エリア」(無料エリア)
日本オリンピックミュージアム2020012103
⇓2階(有料エリア)の「オリンピックシアター」。写真撮影可能
日本オリンピックミュージアム2020012104
⇓2階から見た「新国立競技場」全景。左上の尖った、小さな建物は代々木にあるドコモタワー
新国立競技場2020012105
③新国立競技場
⇓すぐ近くで見てもあまり威圧感はない
新国立競技場2020012106
新国立競技場2020012107
⇓高さ約1.8mの仮囲いの上から撮影
 都営地下鉄大江戸線「国立競技場」駅からすぐ近くの千駄ヶ谷門
新国立競技場2020012108
新国立競技場2020012109
新国立競技場2020012110
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「上を向いて歩こう」~2つのオリンピック

 「上を向いて歩こう」~2つのオリンピック
 1959(昭和34)年、日本は1964(昭和39)年のオリンピック東京大会の開催地に選出された。開催はその年の10月。東京オリンピックの経費は関連事業と合わせると1兆円近くにのぼり、これは当時の国家予算の3分の1にあたる(注①)。新幹線や首都高速道路などが建設され、オリンピック景気に湧いた。またカラーテレビが急速に普及し、地方に住んでいる人たちも(私も)中継放送に見入った。
 翌1965(昭和40)年、一転して不況(証券不況、昭和40年不況)となる。政府は景気を浮揚させる財源として、この年度の補正予算で戦後初の赤字国債(特例国債)の発行に踏み切った。それは、今日の、1100兆円を超える、国と地方の借金の「始まり」となった。
 このころ、熊本県水俣湾や新潟県阿賀野川流域で、有機水銀による水質汚染のため健康被害が生じていた(水俣病、第二水俣病)。また、オリンピックの関連施設や高速道路の建設などのため、出稼ぎ労働者が地方から東京へ押し寄せていた。過酷な労働や、事故などのため、多くの人が健康を害し、命を失うこともあった。

 2020年、再び東京でオリンピックが開催される。しかし、昔とちがって今は「良い時代だ」などとは、とてもいえない。「良いことばかり」ではないということ。バブル景気崩壊(1991年)後、所得格差がますます拡大し、いまや子どもの7人に1人が貧困の状態にある。教育費は先進国で最低の水準。「裁量労働制」は更なる長時間労働や過重なノルマ、過労死をもたらした。「自由な働き方」(労働者派遣法)とは名ばかりで、非正規労働者はいまや2000万人を突破し、非正規雇用比率は38%にも及ぶ(注②)。そして、かつての過酷な労働は、(出稼ぎ労働者から)外国人労働者が担うことになった。彼ら彼女らは、最低賃金以下で働かされることもある。そのうえ長時間労働、残業代未払いなどの問題もある。
 もちろん「働き方改革」とは「働かせ方改革」であった(注③)。巨大な財政赤字が足かせとなり、政策選択の幅を狭めている。その結果、本来必要とされる産業基盤の整備や基礎研究の充実ですらじゅうぶんではなくなっている。昔もいまも、問題だらけだ。

 いっぽう、非正規の地方公務員も増え続け、いまや全国で約64万人にものぼる(2016年)。これは地方公務員全体の5分の1近くになる。しかも賃金は正規公務員の3分の1。今年(2020年)4月、改正地方自治法が施行され、非正規公務員にボーナスが支給されることになった。ところが、ボーナスを支払う代わりに月額の給与を引き下げようとする動きが自治体にみられる(注④)。
 自治体の財政が苦しいのはじゅうぶん分かる。しかし、なんの工夫もなしに、「ボーナス支給」を実質上「無」にするのは許されない。工夫の余地は当然あるはずだ。

 私は、こうした現状の打破を若い人たちに期待していた。ところが、「変わるべきは、若者よりも、私たち大人じゃいか」と記された新聞記事(注⑤)を読んで驚愕した。 
 高橋まつりさんは、「東大を出て電通に入社し、わずか1年足らずで<命を>奪われた……。生前に発信されたツイッターを見ると、睡眠時間2時間という超長時間労働や、上司によるパワハラなどの過酷な実態が浮かび上がってくる。そうして2015年クリスマス、彼女は寮から飛び降り、還らぬ人となってしまった。」(注⑥)この事件をうけて、電通は労働基準法違反の容疑で書類送検された。ところが、この企業は2019年9月にも再び、「違法残業で労働基準監督署から是正勧告を受けた」。高橋まつりさんの母、幸美さんは「娘の命と尊厳がまたも踏みにじられた思い」と訴えた(注⑦)。変わるべきは会社(経営者)であり、パワハラ上司であり、私たち自身じゃないのか。

 若者も私たちも、そしていつの時代も、この社会に無関心であってはならない。そして、なにより「人の権利」が最大限に尊重される社会でなければならない。人の命より優先されるものは、何ひとつないのだから。先ほどの新聞記事(注⑤)には、こんなことも書かれていた。「変化が激しい時代。<若者が会社などに>飛び込んでみて『違う』と思えば方向転換すればいい。将来の不安がない人はいないし、特効薬もない。自分で選んだ道を、自分の『正解』にしていけばいい。」上記の2か所の<>内は私の補足。

 オリンピックと万博の開催は景気拡大を目的としているのだろうが、経済成長にばかりこだわるのはもう終わりにすべきだ。そうしないと果てしない財政悪化をもたらすだけだ。近年のオリンピック開催には、巨額の費用が必要だと指摘されている。それにしても、今回のオリンピックはほんとうに「復興五輪」とよべるだろうか。それでも、アスリートにとっては、重要な大会であることには変わりはない。

 涙がこぼれないように上を向いて歩いてばかり、ではいられない。「上を向いて歩こう」の歌(注⑧)には「前向きに生きよう」という作詞者の意図があるらしい(注⑨)。この歌は、前回の東京オリンピック開催の3年前、1961(昭和36)年に発表された。
 そう!前向きに生きるしかない。もちろん、この社会に関心をもって。

<歌:上を向いて歩こう>
 
<資料>
①山田昌弘『底辺への競争 格差放置社会ニッポンの末路』2017年。「非正規雇用の増大が社会、経済、結婚に及ぼす影響は甚大でした」と書かれている。
<注>
①日本オリンピック委員会「オリンピックを支えた募金活動」の資料による。なお今回のオリンピックでは、「大会組織委員会の公表分や東京都の見込む関連経費を合わせた総コストが3兆円に達するのは確実とみられる」という(東京新聞、2019年12月5日)。
②労働者派遣法が改正された1996年以降、派遣労働の対象が大幅に緩和された。ところで、「役員を除く雇用者5681万人のうち、正規の職員・従業員は3492万人……、非正規の職員・従業員は2189万人」である(総務省統計局「労働調査」2019年7~9月期平均)。正規雇用の人たちも安心できない。いつ会社が倒産したり、リストラされるか分からない。ブラック企業も多数存在する。新聞報道によると、業績が好調なのにもかかわらず「黒字リストラ」に踏み切る上場企業が増えているという。「2019年に早期・希望退職を実施した上場企業は35社で、対象者が計1万1351人に達した」(毎日新聞、2020年1月15日、東京商工リサーチの調査)。株式への投資などは「自己責任」で行うべきだが、今日の社会では「自己責任」では済まされないことが多々ある(資料①)。
③久原穏(くはらやすし)『「働き方改革の嘘 誰が得をして、誰が苦しむのか」』2018年。改正労働者派遣法の施行(1996年)や経済のグローバル化などの進展が、日本における大量の非正規雇用や所得格差の拡大、長時間労働などをもたらした。そして、これらの諸問題がさらに経済停滞をもたらし、少子高齢化をいっそう加速させる一因になっている。政府は、大量の非正規雇用を生み出す政策を実施しながら、いっぽうでは、近年の「働き方改革」などで、少しだけ改善を図ろうとしている。政府は今後の、日本社会のあるべき姿を示し、無駄を排して健全な財政を取り戻し、場合によっては企業や国民に応分の負担を求めることが必要であろう。そして、高齢者の雇用の確保や、若者などが「やり直しのできる社会」を整備することが急がれる。また、このような議論に多くの若者が参加することも肝要だ。いっぽう、企業も私たちも、国に過度に依存してはならない(もちろん必要とする人たちや企業などは除く)。政権も、大量に国債を発行して政権を維持しようとしてはならない。
④毎日新聞、2019年10月10日。保育士の確保や離職防止を図るための、処遇改善費(国または自治体からの補助金)が、保育園の設備維持費などに用いられ、本来の目的のために使われていないことがある(保育士クラブ「保育士の給料と「手当」事情の現実」、2018年10月9日)。これも「非正規公務員のボーナス支給問題」と似たような構図。
⑤朝日新聞、2019年12月29日
⑥雨宮処凛(かりん)『自己責任社会の歩き方 生きるに値する世界のために』2017年。この本には、次のような例も記されている。大手機械建設メーカーに勤めていたXさんの職場では、「成果主義と裁量労働制が導入されてから長時間労働が常態化し……、Xさんは月に300時間近い労働を強いられ」ていたという。また別な男性は、宴席で、「革靴にビールを入れて飲ませ」られ、「飲まなければ、靴の踵で叩かれ」るというハラスメントを受けたという。
⑦毎日新聞、2019年12月25日
⑧Youtubu「上を向いて歩こう」歌、坂本九。作詞、永六輔。作曲、中村八大。
⑨「坂本九『上を向いて歩こう』歌詞の意味を考察・解釈