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あなたは自分の老後を誰に託しますか④(全4回)

⇓昭和記念公園(東京都立川市)、カナールにて
昭和記念公園2019062211
昭和記念公園2019062212
⇓「トンボの湿地」近くの池にて
昭和記念公園2019062213
⇓花木園にて
昭和記念公園2019062214
⇓日本庭園にて
昭和記念公園2019062215
あなたは自分の老後を誰に託しますか

④政府(金融庁)は国民に老後に備え「自助」(自助努力)を呼びかけている
 金融庁は2019年5月、「人生100年といわれる超高齢化社会を迎え」、国民に「老後の生活費」を蓄えるように呼びかける報告書(案)をまとめた(注①)。
 「金融庁が高齢化社会で個人の資産形成を訴える背景には、公的年金の縮小が将来避けられない現状がある。高齢者が増える一方で、働く世代が今後急減する。……『公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある』と公助の限界を認めている」(注②)。
 公的年金と言われても、厚生年金ではなく、国民年金(基礎年金)だけの場合、極めて少額の給付しかない。ちなみに、基礎年金は「満額」の場合(保険料を40年間納めた場合)、2019年度は月額換算で6万5008円(日本年金機構のHPより計算)。厚労省年金局の発表によると、2016年度では基礎年金の「平均」(月額換算)は5万5464円であった。
 
 金融庁はさらに次のように国民に訴えている。
 「高齢期は、資産の計画的な取り崩しを考えるとともに、取引先の金融機関を絞ったり、要介護など心身が衰えた場合にお金の管理をだれに任せるかなどを考えたりしておくこと……。」「認知症になった場合にも生活を維持できるよう、お金の管理を親族や成年後見人らに任せること……。」また「資産寿命を延ばしたい顧客の要望にこたえるため、金融機関」は、「商品のわかりやすい説明や手数料の明確化」をすること(以上の引用は注③による)。
 もちろん金融庁の狙いは「貯蓄から投資へ」の呼びかけにある。

 こんにち、日本銀行による国債の大量購入など(「異次元金融緩和」)により、金利が異常に低くなっている。だから金融機関は金利(利ざや)では稼げない。そこで、投資商品(外貨預金や外貨建て生命保険、投資信託など)の手数料で儲けようとする。気がつけば、じゅうぶんな説明がないまま、ぼうだいな手数料を支払うことになる、こともある(注④)。「リスク」をじゅうぶん理解したうえで、投資をすることが大切だ。金融庁に「資産形成」と言われてもそう簡単なことではない。ある意味、日銀の異次元金融緩和政策は、金融機関にも国民にも犠牲を強いていると言える。
 もっと深刻なのは、非正規で働いている人たちだ。「非正規雇用や失業、無業に長く置かれた若者」は、「困窮状態から抜け出せなくなる」という(注⑤)。つまり、「やり直し」がとてもききにくい社会だということ(注⑥)。「起業」などができればよいのだが、じゅうぶんな蓄えもなく、年金もあてにできないのなら、老後をどのように迎えればよいのだろうか(注⑦)。

 それでは、財政が赤字というのなら、消費税を上げればすむのか。なにより消費税を上げなければ、国民は助かる。政治家は「消費税を上げない」と選挙で訴えれば当選しやすくなる(そんな選挙が過去2度もあった)。未来のことを考えなければ、こんなに「いい」ことはない。だが、これでは子や孫の世代にツケをまわすだけだ。
 今の税制度には大きな欠陥がある。消費税を上げるとしても、その欠陥を是正してからだろう(注⑧)。また同時に、財政の大幅な見直しが必要。ただ、巨額の財政赤字体質を是正するのは、そうたやすいことではない。

 もちろん老後の生活を「公助」(公的年金など)だけに頼ることはできない。「自助」(自助努力)や「共助」(地域や近隣などの助け合い、互助)なども含めて、自分たちの「老後」に備えるしかない。ただ、年金の範囲内で暮らさざるを得ない人も多い。貯蓄額の多寡にかかわらず安心して老後を暮らせる社会を目指さなければならない。

 井手英策氏は「連帯共助」(子育て、教育、医療、介護など「ベーシック・サービス」の給付)を提唱している(注⑨)。また、高齢者が働きやすい雇用環境などを整備することも大切だろう。いずれにしても「いかなる社会を構想するのか」がはじめに問われなければならない。政治家や官僚に任せきりにするのではなく、出来るだけ多くの国民がなんらかの方法で議論に参加し、関心を抱き続けなけらばならない。もしそうしないのなら、現状に甘んじるしかない。
 国債の大量発行による経済対策、長時間労働や非正規雇用の拡大などでは、激変する時代を乗り切ることはできない。子や孫の世代が自分たちで新しい時代を切り拓くことができるような社会にすることも、私のようなシニア世代の役割であろう。
 
<注>
①金融庁事務局説明資料「高齢社会における資産形成・管理」報告書(原案)。5月22日公表の「原案」は、6月3日公表の「最終版」で(なんらかの圧力により)「表現」が一部修正された。具体的には、年金水準の「実質的な低下」から、「今後調整されていく」など。
②岡田有花氏によると、「自助に期待するなら年金徴収をやめろ」という批判もでているという。考えようによっては、金融庁は事実を隠さないだけましであろう。なお引用は注⑥による。
③朝日新聞、2019年5月15日
④日本の投資信託は、アメリカと比べて明らかに販売手数料(購入時)も信託報酬(管理手数料)も高すぎる。金融庁は、手数料が高いわりに実績の悪い投資信託をたくさん売っている金融機関に、警告を発している(Newsweek、2018年11月9日)。もし資産運用の経験が乏しいのなら、「老後のための投資はNG」。また個人年金保険なども要注意。リスクをよく知ることが肝要。人任せの投資では、思わぬ高額の手数料を取られ、損失を招きかねない。荻原博子『投資なんか、おやめなさい』(2017年)を読んでからでも、投資は遅くはない。
⑤吉見俊哉『平成時代』2019年。第1章、第3章、おわりに、も参照したい。
⑥城繁幸『若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来』2006年
⑦日本銀行金融広報中央委員会の「家計金融行動調査」(2016年発表)によると、金融資産がない世帯が増加しており、「2人以上世帯で3割強、シングル世帯に至っては、5割近くは金融資産が」ないという(大樹生命=日本生命グループのホームページ)。
⑧明石順平『データが語る 日本財政の未来』)第9章、2019年
⑨井手英策、今野晴貴、藤田孝典『未来の再建――暮らし・仕事・社会保障のグランドデザイン』2018年。ベーシック「インカム」ではなく、ベーシック「サービス」の提供を提唱している。ただし増税が前提となっているので、反対意見もある。この提案の是非は今は問わない。日本では、政府や政治家への国民の信頼度がきわめて低い(注⑩)。このことが、増税に対する抵抗感をますます強くしている。さまざまな議論を積み重ね、(たいへん難しいが)国民的合意を得て、税制度や財政、社会保障、選挙制度などのあり方を決めるべきであろう。
⑩DIAMOND online「日本国民の政治家への信頼度はなぜ世界最低レベルなのか」(2017年2月1日)と、舞田敏彦氏のブログ「データえっせい」~「若者の政府不信の国際比較」(2015年10月17日)の記事は、いずれも「国際共同意識調査」(ISSP)に基づいて書かれている。
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コメント

こんばんは~

真っ先に、金融関係が反応しましたよね。
投資を呼び掛けたり、わが家にも電話がかかってくるようになりました。

老後の備えなんですよね。
オレオレ詐欺、投資、預金への誘い。
ありとあらゆるところで、有象無象が蠢いているように感じます。

おはようございます。

おっしゃる通りですね。
コメント、ありがとうございました。

私は、金融庁の「報告書」がこの5月に出たときから、この問題を考えてきました。ですが、これほど大きな問題になるとは思ってもいませんでした。私の世代では、「年金だけで生活できる」などと考えている人はいませんから。
私の家にも金融機関からたびたび電話がかかってきます。そもそも投資は自発的にやるべきで、勧められたからやるようでは、その時点で、その投資は失敗でしょう。
最近、証券会社に長く勤めていた人から話を聞く機会がありました。投資は「努力と度胸」だそうです(私の勝手な感想)。人と同じことをやっていたのでは(金融機関などで得た同じ情報では)、とても儲からないそうです。投資信託などでも、金融機関に「おすすめの商品」を尋ねるような人は、累積する手数料でかえって損をします。
インフレではなく、デフレの時代ですから、利子を得られなくても、「現金」は(最低でも)目減りしません。生活資金やローン、教育費、医療費など、必要な資金を除き、つまり余裕資金に限定して、人任せではなく、長期運用で投資をすべきでしょう。いずれにしても、「どんなリスクがあるのか」を調べる(本などを読む)余裕がないのなら、投資はすべきではないでしょう。
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