東南アジアと「ローマ字」

<写真>
①A マーライオン公園 1974年(シンガポール)…「危險! 請勿進入」
Merlion1974b
①B マーライオン公園 2008年(シンガポール)
Merlion20017b
⇑写真①Aは、「危險! 請勿進入」(DANGER! KEEP OUT)の「掲示版」(1974年8月、シンガポールで撮影)。シンガポールの公用語は、英語、中国語、マレー語、タミル語(インド南部の言語)の4つ。シンガポールの人たちは、学校や職場、公共の場ではおもに英語を話し、家庭ではそれぞれの「母語」(出身地の言語)を話す(注1)。「掲示板」(写真①A)の上から4番目がマレー語で、「ローマ字」(the Roman alphabet)で表記されている。東南アジア11か国のなかで、自国語の標準表記に「ローマ字」を用いている国は7か国(注2)。これら諸国の「ローマ字表記」は、19世紀からの欧米列強による植民地支配と密接に関係している。というのは宗主国(統治国)のいずれの言語も、「ローマ字」(ラテン文字)を用いているから。なお、「請勿」は「 ~しないでください」という意味。写真①Bは2008年3月撮影。

②マレーシア国立博物館(マレーシア)…マレーシアの「ローマ字」
National Museum1
National Museum2
⇑写真②上はマレーシア国立博物館。下の掲示板の最上部に書かれている「MUZIUM NEGARA」(マレー語)は、国立博物館の意味。その下からはマレー語と英語で表記されている。2008年3月撮影。

③A ベトナム-ドイツ友好病院(ベトナム)…ベトナムの「ローマ字」
越独友好病院
③B ハノイ市劇場(ベトナム)…ベトナムの「ローマ字」
ハノイ市劇場b
⇑写真③Aは、左はベトナム語、中央はフランス語、右は英語でそれぞれ書かれている。英語をみると、「ベトナム-ドイツ友好病院」であることが分かる。写真③Bはハノイ市劇場。右上と左上に見える Nhà hát Lớn Hà Nội は「オペラハウス ハノイ」の意味。ベトナム語には母音が多いため、「ローマ字」(ラテン文字)に補助記号をつけて書く。それぞれ2009年5月撮影。

(注1)「ほとんどの中国系住民の本来の母語が広東語などの地方語である」ため、「彼らにとり二言語政策は現実には三言語政策に等し」い(池端雪浦編『東南アジア史Ⅱ島嶼部』山川出版社)。というのは、中国系住民にとって第一言語は英語、第二言語は「中国語」だが、各家庭では出身地の言語(広東語などの「母語」)を話しているためである。なお、シンガポールでは「中国語」を「華語」(Mandarin)と表記し、「北京語音を標準とした標準中国語」のことを指す。
(注2)東南アジアでローマ字を用いていない国は4か国(タイ・カンボジア・ラオス・ミャンマー)。東南アジアの植民地支配国は以下の通り(すべて現在の国名で記す)。ミャンマー(独立当時はビルマ)・マレーシア・シンガポール・ブルネイはイギリス、ベトナム・カンボジア・ラオスはフランス、インドネシアはオランダ、東チモールはポルトガル(のちインドネシアが占領)、フィリピンはスペイン(米西戦争後、アメリカ)であった。なお、タイは英仏の「緩衝国」として唯一独立を保った。
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yamashiro94

Author:yamashiro94
東京都内、多摩地方、近県でカメラを持って散策しています。旅行・歴史・地理・文学・音楽などから最近気になったことまで、何でもとりあげています。写真なしの場合もあります。上の写真はマレーシアのクアラルンプール駅。2007年撮影。

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