ローマ字 ヘボン式と訓令式

私たちは日ごろ、何気なくローマ字を見たり、読んだり、書いたり、パソコンでローマ字入力などをしている。パスポートには自分の名前をローマ字で表記しなければならない。パソコンでは「かな入力」より「ローマ字入力」が多数派。駅名や道路などの標識、クレジットカードの個人名などもローマ字で表記されている。

日本語をローマ字で表記する方式としてよく用いられるのが、ヘボン式と訓令式。パスポートにはふつうヘボン式を用いる。外務省のウェブサイトには次のように書かれている。パスポートの氏名は、「従来よりヘボン式を採用している。……旅券申請において表記の例外を希望する申請者が増えていることから、その氏名での生活実態がある場合には非ヘボン式ローマ字表記であっても、その使用を認めている。」ところが文部科学省は「国語を書き表す場合に用いるローマ字のつづり方」として非ヘボン式(第1表。訓令式と呼ばれている)を用いるように定めている。ただし、「国際的関係その他従来の慣例をにわかに改めがたい事情にある場合に限り、第2表に掲げたつづり方」(ヘボン式と第1表にもれた日本式)も認めている(注1)。この訓令式ローマ字は小学校の「国語」で習う。ところが中学校の「英語」ではヘボン式が日本語表記の基本になっている(注2)。パソコン入力は訓令式でもヘボン式でも打てる(ワープロ式ローマ字)。道路や駅名の標識などはヘボン式の変形で表記されている。このように今日まで統一されたローマ字表記は存在しない。

私たちが日ごろ用いているのは、どちらかと言えばヘボン式。いずれか一方に決める必要はないのかもしれない。あえて言うなら、英語圏の外国人には日本語の音に近い形で表記できるヘボン式、日本語文法の説明には訓令式が役立つかもしれない。これは「ヘボン式が英語の発音からローマ字を創ったのに対し、訓令式はどこまでも日本流にローマ字を五十音にそって作ら」れていることによる(注3)。

<参考>①「ヘボン式を推奨」しているのは「日本語のローマ字表記の推奨形式」(東京大学教養学部英語部会/教養教育開発機構)。②「ヘボン式を用いるべきではない」としているのは「ローマ字あいうえお~ヘボン式」(管理人は Hypnosさんの個人サイト)。
①「日本語のローマ字表記の推奨形式
②「ローマ字あいうえお

(注1)文科省「ローマ字のつづり方
(注2)「英語式ローマ字」(Webサイト)
(注3)高谷道雄『ヘボン』(吉川弘文館)
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yamashiro94

Author:yamashiro94
東京都内、多摩地方、近県でカメラを持って散策しています。旅行・歴史・地理・文学・音楽などから最近気になったことまで、何でもとりあげています。写真なしの場合もあります。上の写真はマレーシアのクアラルンプール駅。2007年撮影。

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