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外国人技能実習生と「出稼ぎ」留学生

NHK取材班著『外国人労働者をどう受け入れるか』によると、「人手不足を補いながら、『労働者』としての来日を認めない――矛盾だけの実態が放置され、そのことが外国人の『労働者』から多くの権利や機会を奪っている」という。以下、特段断りがなければこの著書から引用。

「外国からの移民を受け入れない立場をとっている日本で、労働力として受け入れている外国人労働者は、大きく二つの類型に分けられる。一つが『留学生』として学びにやって来る外国人の若者たちだ。その多くはコンビニや居酒屋など、サービス業の分野でアルバイトしながら、日本で『働いて』いる。」日本ではもちろん「サービス業で働くことを理由に、……外国人の在留を許可していない」。「就労目的で来日する留学生、いわゆる『出稼ぎ留学生』は増え続け」、外国人の「労働者全体に占める割合は22.1%だ」という(2016年10月末現在)。出井康博著『ルポ ニッポン絶望工場』によると「勉強よりも出稼ぎを目的とするものが多く、……本来受け入れるべき『留学生』は決して増えていない」という。

「もう一つが、日本の技術などを学ぶ目的でやって来る、滞在期間三年(注1)という期限付きの『外国人技能実習生』(以下、『実習生』)……。」「実習生は農業、水産加工業、建設業、製造業などの『日本人がやりたがらない』『きつい・安い』といった肉体的な負担の大きい労働現場で、単純労働力として機能している。その結果、期限付きで働きに来る実習生は、都合のいい『使い捨て労働力』とされるケースが頻発し、シェルターが設置されるほどの事態がひろがっている……。」

「実習制度は途上国への技能の移転という当初の目的からは、遠くかけ離れた利用のされ方となることが多い。低賃金の単純労働力を補うためだ。移民を認めてこなかった日本では、外国人労働者に定住してもらっては、建前上、困ることになる。技能実習制度は、その点も『期限付き』で、都合のいい制度だった。深刻な人手不足を補いたい産業界の要望と、治安維持、入国管理の必要性との間に折り合いをつける形で考え出された、矛盾含みの制度の乱用だ。」「必要な労働力を『労働者』として受け入れず――移民の受け入れも含めた根本を議論しようとせず――『期限付き』の労働者たちを増やし続けた"ゆがみ"が格差社会の底辺で噴出し始めているのではないだろうか。」(注2)

日本で働く外国人は「2016年に初めて100万人を超えた」。移民の受け入れも「裏では着々と準備が進められて」いるという。「人手不足に直面する経済界の声、さらには米国などからの『外圧』に押されてのことである。」(資料②③)「今、日本では、移民というタブーを乗り越え、外国人と共に暮らす社会を実現」するのか、「あるいは縮小社会を選択するのか、そのあたりから議論すべきではないだろうか。」日本はすでに「少子高齢化社会」を迎えている。外国人労働者の問題は、私たちが「どのような未来を選択するのか」という問題でもある。おそらく国民の間でも相当、意見が分かれるであろう。「国論を二分するテーマ」(資料②)である。だから政治家や官僚に任せるのではなく、自分のこととして「外国人労働者や移民の受け入れ」の問題を考える必要がある。

(注1)2017年11月から最長五年に延長された。
(注2)「2012年、日本の技術実習制度が『外国人労働者を適正に処遇していない』として、国連機関や国際労働機関(ILO)などから厳しく非難されている……。」「翌2013年6月、米国国務省人身取引報告書において、『日本政府は技能実習制度における強制労働の存在を正式に認知しておらず、本制度の悪用から実習生を保護するための効果的な管理・措置が不足している』と指摘された。」

<資料>
①NHK取材班著『外国人労働者をどう受け入れるか』(2017年8月)
②出井康博著『ルポ ニッポン絶望工場』(2016年7月)
上記の①②のいずれか1冊を読むとすれば②。②は豊富で綿密な取材にもとづいているだけに、問題点の指摘が鋭い。
以下、②の本から引用しておく。
「日本人の嫌がる仕事を外国人に任せ、便利で快適な生活を維持していくのか。それとも不便さやコストの上昇をがまんしても、日本人だけでやっていくのか。私たちは今、まさにその選択の岐路にいる。」「『実習生』や『留学生』だと称して外国人たちを日本へ誘い込む。そして都合よく利用し、さまざまな手段で食い物にする。そんな事実に気づいたとき、彼らは絶望し、日本への反感を募らせる。……」(具体的な事例は是非この本を読んでもらいたい。)

「私は移民の受け入れをいっさい拒むべきだといっているわけではない。ただし『移民は一日にしてならず』である。今やるべきことは、将来『移民』となる可能性を秘めた外国人労働者、留学生の受け入れ政策について、一から見直すことだ。」「移民の受け入れとは、単に労働者を補充することではない。日本という国を構成するメンバーとして、生まれ育った環境や文化の違う人たちを社会に迎え入れることなのだ。言語の習得、就職、さらには子弟の教育などへの支援を通じ、日本社会に適応してもらえるよう、私たちの努力も求められる。」「今後も、日本で働く外国人は間違いなく増えていく。日本に住み続け、移民となる人も出てくるだろう。彼らにこの国で、いかなる役割分担を求めるのか。どうすれば優秀な外国人を日本に迎え入れられるのか――。長期的な方針と戦略を立てるのは今しかない。」
この本には次のようにも書かれている。
「政治に無関心でいられても、無関係ではいられない。」同様に、「日本に住む外国人に無関心でいられても、無関係ではいられない。それは遠い未来の話ではなく、すでに紛れもない現実となっている」。
③毛受俊浩著『限界国家 人口減少で日本が迫られる最終選択』(2017年6月)
日本の移民政策については、この著書の第6章「迷走する政府の移民政策」を参照のこと。
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